これは1900年代にかの有名な英国人作家D.H.ローレンスが発した言葉です。 彼は当時まだあまり知られていなかったサルデーニャ島を世の中に広く紹介した人の一人。
サルデーニャはこれまでに見たことがない、 出会ったことのない、 唯一無二の魅力にあふれた島だと語っています。
古代遺跡に覆われた、 青空の下の博物館のような島、サルデーニャ。 7000以上のヌラーゲ(この島でしか見られない何千年もの歴史を持つ建造物)や“巨人の墓”“妖精の家”“メンヒル”と
呼ばれる古代文明が残した遺跡が今も島を覆っています。
手つかずの素晴らしい自然はこの島の魅力の一つ。 サルデーニャの海は世界でもっとも美しい海の一つとして知られ、 内陸にはヨーロッパでもっとも深いキャニオンを有しています。 その雄大な自然もさることながら、 島を訪れる人をもっとも魅了するのは、 いたるところに見られる何千年もの歴史の足跡。 郷土料理から伝統衣装、 独自の言語から民族舞踊、 宝飾品から
ビッソ(古い歴史を持つ特殊な織物)まで、 サルデーニャ人の生活には今も悠久の歴史を垣間見ることができるのです。
サルデーニャと日本は不思議な糸で結ばれているようです。
沖縄とサルデーニャはどちらも「ブルーゾーン」と名付けられた世界に数か所しかない長寿ゾーンの一つとして挙げられています。
その長生きの秘訣はおそらく、 澄んだ空気と健康的な食生活、 水質、 適度な運動と地方文化の中にあると言われています。
古代から神への祈りや女性への愛を表現するために歌われてきた男性アカペラ。 男性4人が円陣を組み、 4つのパートに分かれて独特の発声方法で掛け合いながら歌っていきます。 起源はあまりに古くはっきりとわかっていませんが、 放牧生活の中から生まれ、 4つのパートは羊や牛などの動物の鳴き声や、 雨風など自然の音をまねることから始まったと言われています。
彼らが奏でる独特の音色は2005年ユネスコ世界遺産に登録されています。
紀元前8世紀にはすでに伝統舞踊“バッル・トゥンドゥ(円舞)”の伴奏のために使われていたと言われる管楽器。 3本の長さの違う太い葦のパイプでできていて、 3本全部を口にくわえ、 循環呼吸で息継ぎをせず鼻から息を吸って同時に口から息をはいて音を出します。 近年まで師匠から弟子へ口頭継承でのみ受け継がれてきたこともあり、 現在では演奏できる人が少なくなっていますが今でも宗教行事や町のお祭りなどで演奏されています。
石を奏でるアーティスト、 ピヌッチョ・ショーラ(1942-2016)。 幼いころから“石”に興味をもっていた彫刻家ショーラは、 ある日人間に声があるように石にもそれぞれ違った“声”があることを発見。 ショーラによって切り込まれたサルデーニャ先史時代の巨石メンヒルを思わせる大型の石はやさしくなでると重厚で透き通った音色を奏で、 目を閉じて石に耳をあてると幻想的でどこか懐かしい世界に引き込まれるよう。
残念ながら2016年に亡くなったショーラの作品は、 自身のイニシアチブで広がった壁画アートで知られる生まれ故郷、 サン・スペラーテSan Sperateで見られるだけでなく、 公園や街角にオブジェとして数多く設置されています。